逆風を求めて

風車は風に向かう。向かい風を求める。もし風がなかったら、子供は自分が走って、風車を回すだろう。





風力発電は、風の力をエネルギーに変える。風は圧力である。その圧力を正面から受けるから、エネルギーが生じる。風を横から受けていたら、風の力をエネルギーに転化することはできない。風を避けてしまったら、風力発電機は、ただの鉄くずである。風に向かって正面を向け続けることが、大きな貢献となるのだ。





どんな駆体が、支柱への負担を減らし、風の力を無駄なくエネルギーに変えられるか、そこは考える必要がある。台風のような強風の時には発電を停止する製品が多かった。遠心力で回転軸が揺さぶられて破損に至る。回転が速すぎて加熱して発電機がもたない。こうした問題を解決したのは日本のメーカー、ゼファー(製品名エアドルフィン)だった。微風でも風速50mでも発電できるという。大きな改善点は、失速状態をつくって回転数を落とすことだった。失速すれば即応性と発電効率が落ちるが、暴風時に限って、敢えて失速するように設計している。





風力発電は、周囲の抵抗にもめげず、逆風の中頑張っているビジネスマンにも似ていないだろうか。強風にあおられて今にも飛びそうな心を持っているなら、一つ覚えておいて欲しい。風を正面から受け止めることこそ、もっともチーム全体のエネルギー効率が良く、生産的なやり方だということを。風は避けるものじゃない。求めるものだ。ぶれない強い軸を持ち、壊れそうなときには上手に失速し、故障知らずで回り続けようじゃないか。